健康な暮らしは高断熱な住まいからconcept

知っておきたい室温と健康リスクの関係

「温かい家」が健康寿命を延ばす!

「温かい家」が健康寿命を延ばす!

そもそも日本の住宅は夏の暑さ対策が中心で、冬の寒さは我慢するものと考えられてきました。そのため室温の低さが問題で、欧米の住宅に比べて対策も遅れています。一方で、断熱性能を上げるほど健康状態がよくなることもわかってきました。健康状態を維持・向上させるには快適な室温を保つことが極めて重要だということです。

暖かな住まいで健康診断数値が良い

暖かな住まいで健康診断数値が良い

年齢、性別、世帯所得、生活習慣を調整した上でも、朝の居間室温が18℃未満の住宅(寒冷住宅群)に住む人の総コレステロール値、LDLコレステロール値※1 が有意に高く、また、心電図の異常所見※2が有意に多い。

※1:高血圧の状態が血管壁を傷つけ、その傷にコレステロールが沈着して動脈硬化が促進されることが知られている。得られつつある知見の中で、寒冷な温度環境が高血圧を引き起こすと示されたため、それに伴い寒冷住宅群でコレステロール値が高くなったと想定される。

※2:健康診断の結果に基づく異常所見

※3:英国保健省の最低室温推奨値の18℃を参考として、それを境に1日で最も室温が低下する朝5時の室温に基づき2群に分類

※4:オッズ比は、ある事象の起こりやすさを2つの群で比較して示す統計学的な尺度。また、調整オッズ比は、他の説明変数の影響を取り除いたオッズ

※5:年齢、性別、BMI、降圧剤、世帯所得、塩分得点、野菜採取、運動、喫煙、飲酒、ピッツバーグ睡眠調査票得点(睡眠に関する得点)で調整 Ikaga Lab., Keio University スマートウェルネス住宅等推進調査委員会 研究企画委員会 調査・解析小委員会 2019.2.1(抜粋・編集版)

暖かい住まいが介護予防に寄与?

暖かい住まいが介護予防に寄与?

※3:t検定でp<0.05林侑江、伊香賀俊治、星旦二、安藤真太朗:住宅内温熱環境と居住者の介護予防に関するイベントヒストリー分析、-冬季の住宅内温熱環境が要介護状態に及ぼす影響の実態調査-、日本建築学会環境系論文集 第81巻第729号、2016.11 kaga Lab.,Keio University (Yukie NAKAJIMA)

ヒートショック問題の現状

ヒートショック問題の現状

ヒートショックは大きく2つに分けられると考えています。ひとつは、体あるいは体の一部が急激な「温度差」にさらされ、局部的な血圧の上昇(サージ)が全身に伝わり、主に循環器系の疾患を引き起こすヒートショックです。冬のお風呂や脱衣室、トイレなどで起こりやすく、年間1万数千人が命を落としているといわれています。分かりやすい例としては、ヒートショックが原因と推測される改訂の浴槽での溺死者数だけみても13年間で1.9倍に増加し、交通事故による死者数を大きく上回っています。

もうひとつ、あまり知られていませんが冬の「低温」に伴うコールドダメージともいえるヒートショックがあります。2015年に発売された海外の研究によれば、日本人の死亡者のうち約10%に相当する12万人が冬の「低温」の影響で亡くなっていると報告されています。これは「温度差」によるヒートショックの約10倍に上り、私たちが認識している以上にヒートショックは大きな問題といえます。